映画「あん」Les délices de Tokyo

 

フランスでは1月から公開されている映画「あん」がシャモニーでも
(今更なのですが)上映されたので、先日見に行ってきました。

普段、私が映画を見るのは月1回くらいのペースですが、翌日また観に行こうかと
思うくらいに、久しぶりに観に行ってよかったなぁと思える映画でした。

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冒頭に満開の桜の映像がスクリーンに広がり、でもそれは心がウキウキするような
感じではなく、桜のもつ儚さが静かにそして強く映し出されていて、その後のストーリー
もドキュメンタリー映像のような静かな作品です。(70時間以上の映像を1h53分にまとめたとのこと)

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主演の樹木希林さんが、あずきに語りかけたりして、あずきがここに(どら焼き屋さん「どら春」)
存在するまでの、いわば旅のようなものを想像しながら、あずきを炊くのですが「あん」に
なるために、はるばる畑からやってきてくれたのだから、それが小豆に対する「おもてなし」
だというのを観てすごく素敵だなと思いました。

そういう風に考えながら料理したり、お菓子を作ったりして美味しくできないほうが
きっとおかしいですよね。

そして、私はすごく単純なので、久しぶりにあずきを炊きたくなったのですが、
心構えが足りないような気がして実行できずにいます。(言い訳。笑)

「こちらには非がないつもりで生きていても世間の無理解におしつぶされてしまうことがあります。
そうしたことも伝えるべきでした」

予告編ではほんの一部ですが、希林さん演じる徳江さんが遺したテープに録音した声のお手紙。

私はハンセン病のことをきちんと考えたことがなかったのですが(だから知らなかったも同然なのですが)
いろんなことを、知ろうとすること。理解して正しい知識で受け入れることは大切なことだと
改めて思いました。文字にすると薄っぺらいというか、まったくうまく伝えられないけれど。

生きるというのは、雨や風の音を聞き、季節を感じ、日々に感謝するだけではいけないのだろうか
なんてことを考えました。これまたうまく書けないのですが。

そして最後は、満開の桜の木の下で、主演の永瀬さんが「どらやきいかがですか〜」という
シーンで終わるのですが、いろんな意味でほっとします。あぁよかったなぁって。

さて、映画館に入る前に日頃すごくお世話になっているご夫妻にお会いして、並んで鑑賞したのですが、奥様、旦那さんに「お菓子の映画だよっていって連れてきちゃったの」(本当にそう思っていたようで。笑)
って。相変わらずお茶目な方でした。

また観たいけれど、きっと一人で見たら号泣しちゃうんだろうな。
ということで??今日はこれからおやつに「どらやき」(山の我が家の常備薬。笑)食べます!